めろしろ。

隣のクラスのサヤカから古典の教科書を借りて教室に戻ると、可愛い可愛い智将様が俺の席でポッキーの箱を持って待ち構えていた。


「今日はぽきぷりの日だそうだな、チカ」
「おう、とりあえずそれ誰に聞いた？政宗か竹中か…」
「真田ぞ」
「よし、何聞いたか知らねーが大体間違ってることは分かったぜ」
「好いている者を誘いポッキーを両端から食べて恋愛成就を願う、と聞いたが？」
「あぁ、政宗がいい感じに真田を騙くらかしてる感じだな」

それくらいあんたも分かってるんだろ？と溜息をつきながら右手で元就の頭を撫でた。
天然を装うこともあるが元はあの詭計智将。
瀬戸の海を挟んでいたころからこちらがぞっこんなのは変わらないが本気にする程色惚けはしていない。
ペリペリと楽しげにポッキーの箱を開けている理由を聞かないことにはリアクションもとれやしない。


「我はこういったことには疎い故気付かなんだ。バレンタイン並みに浸透している祭りも知らぬとはな。猿飛も竹中も巫女も闘志がみなぎり溢れておったわ」
「…まぁ、あそこらへんはそうだろうけど。毎年あんだけTVでCMやってりゃ知ってるだろ絶対」
「なれば…チカ、」
「ん？」
「きゅわえお(咥えろ)」


策でもなんでも来るなら来やがれってんだ。
ハマってやるのが男ってもんだろ。
自らデレるなんてレア過ぎて涙が浮かびそうだぜ。


「ゴチ！」
「ん…さて、チカ」
「おう！」
「BASARA屋休日限定10個の季節限定栗大福が食べたいのだが」
「よろこんで！」
「うむ、明日頼む」







































ポッキーの日を知らない振りする白々しさが出せなかったデレ就様。