紺野と僕は始業時間よりかなり前に出勤する。
紺野
仕事が出来る奴だから自主的に早く出社。その時間で1日の予定を組み立て仕込みをし、円滑に進む様下準備をする
僕
仕事が常に定時で終えられない出来ない人間(ダメ社員)だけど残業したくないから早く出社。結局眠くてコーヒーをすすってると始業時間になるから早出はコーヒータイムと化す
ある日、紺野の職場での仕事を命じられた僕は早く出社。すでに紺野はデスクにいた。
紺野『おはようございます』
僕「…おはようございます」
人のデスクにお邪魔し、仕事の支度をしていると僕の座っているデスクの電話が鳴る。
ドゥるるるるるるるるるるる!!!!!
(電話音)
真剣になると周りが見えない僕は、いきなり発生する事柄や、音、動きに敏感である
僕「うおおおおお!!!!」
と、大袈裟に驚く性質がある。
僕「こここ紺野さん!お電話です!!」
紺野『聞こえていますから大丈夫です…』
電話の邪魔になるから席を退こうとする僕の動きよりも、紺野の足は長かった。立ち上がる前に僕に後ろから覆いかぶさるようにして電話を取る。
紺野『お待たせ致しました◯◯課紺野です』
なぜかぶさる紺野…
僕(えええ紺野紺野紺野!!気持ち悪いな紺野…近いよ紺野…!)
ちょっと見上げると紺野の顔。髭を朝剃ったんだなぁ、と思えるくらいに近い。目を見ると紺野もこちらを見ながら電話の向こうの人間と話している。
僕(…からかっていやがる)
ちくしょうと思った僕はあえてこう、小慣れた感じを出す様心がける。さっとパソコンを開き、仕事仕事!と言わんばかりに電源をつけるといきなりドゥワアーーーワン!と起動音。それにまたびくりとなり電話口は近いしすぐにパソコンを閉じた。そんな事をしている間に紺野は電話を切り、数秒体をそのままにしてから自分のデスクに戻っていった。
結局僕は小慣れた感ではなく焦りを見せつけて恥ずかしさに固まるしかなかった。
紺野は時々こうしたことを仕掛けてくる。お互い何を言うでもないから僕はとても変な気持ちになるのである