このお話はサイゾウとカナが出ます。
話は父と娘の支援会話cのあとから。
サイゾウからお小遣いをもらおうとカナが手伝いをする話。
サイゾウからくじ引きの景品を探すお話。
「ふんっ。ふんっ。」
サイゾウは鍛冶場で槍を鍛えていた。
「あっ。サイゾウみっけ。ねぇサイゾウー。」
「ふんっ。ふんっ。」
カチン。カチン。カチン。カチン。
「サーイーゾーゥ!」
槍を水で冷やして伏せるとサイゾウはカナを睨み付けた。
「子供が遊びに来る場所ではない。」
「やっと話せるね。ねぇサイゾウ。」
「何だ?」
「あたしにお手伝いできることない?」
「小遣い稼ぎのつもりなら他を当たれ。
チッチッ!」
「うん。お小遣いは欲しいよ。でもねそのお小遣いはあたし用じゃないよ。誰だと思う?」
なぞなぞか。
「サイゾウなら食いつく話だよ。」
「なぜお前のお小遣い稼ぎの話に俺が食いつくことになってる?」
「あたしがお小遣いを使いたいのはお父さんのプレゼントを買いたいの。」
「リョウマ様が何を欲しいのか聞いているのか?相手に欲しくないものをあげても喜ばないぞ。」
無邪気に眼を輝かして話す主君の娘に対してサイゾウは手厳しくたずねた。
「お父さんの欲しいものなら分かっているよ。でもそれはサプライズにしたいから教えていないよ。」
カナは口に人指し指をさしてシーをした。
「サイゾウのお金がお父さんのプレゼントになったら嬉しいと思わないー。」
「鍛冶屋の当番の時間はそろそろ終わる。子供が手伝えることなど何もない。」
「それじゃ竜に変身して鍛練する相手になる?」
「リョウマ様に見られるぞ。俺が子供相手に怪我をさせない保証はない。」
「むぅー。」
カナは頬を膨らます。
「わかったら子供はどこかで遊んでいろ。」
「サイゾウ昨日お風呂に入ったよね。」
「それがどうした。」
「その前に女の湯の時間にお母さんのバスタオル姿を見ていたよね。」
サイゾウは顔を紅くした。
「あたしお母さんと一緒にお風呂に入っていたからサイゾウの気配がわかったよ。それからサイゾウが壁に擬態しながら監視をしていたこともあたしは知ってるよ。」
「ぐぅぅ。」
「お父さんにサイゾウがお母さんとあたしの入浴を覗き見したことを言ってもいいのかなー?」
笑顔でお手伝いをさせるよう強要してきたよこの子は。
「それならお前にやってほしいことはー」
区切り。