「…………あの、智久さんと鶴丸さんって付き合っているんですか?」
「お、それ聞きたいのかい?結構呑気だねぇ。」
総合案内所にあるフリースペースで、智久は律の問いにあははと笑った。
「そういう君らはどうなんだい?」
「あ、いや、俺達はただの幼馴染で……。」
「………この馬鹿!能天気!!」
智久に聞かれて、ただの幼馴染と答えた幸太を律は勢いよく蹴る。
「いってぇ、何するんだよ!?」
「この鈍感!」
「仲が良いんですねぇ、お2人とも。」
物吉に言われて、2人はハッとなるとお互いそっぽを向いた。
「別に私達、姫宮さんみたいに仲が良いわけじゃないし……。」
「そ、そうそう!将来のこととか全然考えていないし!!」
「……………好きなんだ。」
「好きなんだね。」
「ちなみにどっちから告白するの?」
3人にからかわれて、2人は顔を真っ赤にした。
「もう、3人共!」
「そんなつもりはないからな!ホントに!!」
「…………おいおい、随分といちゃついているじゃねぇか、え?」
「こちとら、ログアウトもできなくて困っているんだよ。」
「お、典型的な嫌がらせをするのかい?これまた厄介だねぇ。」
あはは、と笑う智久にプレイヤーはかちんときた。
「てめぇ、初心者のくせして何を偉そうに!」
「諜報員だからってふざけるなよ!?」
「あわわ、智久さん!!」
「お2人とも、プレイヤー同士のバトルも経験値が入るのですか?」
「え?ええ、まあ入ることは入りますけど……。」
「では少し腕慣らしと行きますか。」
「そうだなぁ。あ、芳樹に満月ちゃんは手を出すなよ?物吉も。」
「………わかってるよ。」
「頑張ってくださいね。」
………数分もしないうちに、智久と鶴丸は自身にケンカを売ってきたプレイヤーを叩きのめした。
「う、嘘だろ………。」
「ふむふむ、こういう感じで動かせばいいのか……。」
「すごーい、芳樹さん達もすごいけど智久さん達も凄い!」
「レベルの差を技術で補ったんだ……。」
「俺は芳樹達の実家と付き合いがあるからな。当然、教育上よろしくないものも経験してきたんだ。
まあ、普段から鍛えておいて損はないって奴だな。」
床に突っ伏しているプレイヤーをつんつん、と鶴丸はつついた。
「………ところで倒れているところをお聞きしますが。ラヴクラフトについてはご存じですか?」
「し、知らねぇよ。ゲームの開発者だってことぐらいしか知らねぇし……。」
「……だ、そうです。」
「こりゃ参ったな。地道に探すしかないか。」
「そうですね……。」
「さて、総合案内所を後にしよう。ここにいても情報収集は期待できそうにないし。」
「PMWにはストーリーがないのかい?」
「あ、いえ。ストーリーはあります。
オリジナルパーティーを作るなり、何なりして敵を倒すっていう王道モノですけど。」
「刀剣乱舞と似ている感じかな。」
「なるほど………それはわかりやすいな。」
「ラヴクラフトについてわかっていることといえばゲームの開発者だってことぐらいだもんね。」
「………そうですね………。」
続く。