2011-9-26 18:28
「…アンタの言いたいことがよく分からん」
「私もそんな風に言われたの初めてなので答え方分かりませんよ…」
「……、宮野。ならアンタは今何を感じてる?」
「…自分の状況に関しは何も。幸村と芽夷の安否がメインで気になってるだけです」
「……そうか」
伊達はそう呟くと目を伏せた。宮野はその伊達を見た後、耳に届いた音に弾かれたように立ち上がった。
「!」
「今…悲鳴がってぇっっ?!」
伊達も宮野に次いで立ち上がった時、2人のいる部屋にわらわらと数人の男が入ってきた。
2人は戸惑いながらも、宮野は1人の男の顔を蹴っ飛ばし、伊達は斬撃を避けるとその手首を掴み転がして刀を奪った。
「独眼竜大丈…………う…」
「?!宮野!?」
伊達は自分を呼ぶ声が途中で途切れたので慌てて宮野を振り返った。振り返った時には既に宮野は肩に担がれていた。
何某かの事をされたらしい。伊達は盛大に舌打ちをした。
「テメェ等…ここがどこか知って来てんのか?Crazy Stream!!」
「うわぁぁっ?!」
技を放つと男達は散り散りに逃げていった。
「逃がすか!」
伊達は目の前の男を踏み台に、男達を追い掛ける。
男達は陣営の出口まで着くと馬に乗ってさらに逃げていった。伊達は男達が手に手に刀や金目の物を持っているのを見て再び盛大に舌打ちをし、自分も馬に飛び乗った。
「独眼竜!何事だ?!」
「知らねぇな!多分山賊だろうが…真田のwifeが連れてかれたから追い掛ける!!」
「わ、わいふ?真田の……宮野殿の事か?!って、いない…」
伊達は徳川の声を背に聞きながら馬を走らせた。追い付いた男達から順に切り捨てていく。
「ちっ…ちゃちい刀だぜ」
伊達は自分が殺した男が落とした刀を空中で拾い上げ、それを抜き身のまま腰に差し、手綱を口にくわえると片膝を馬の首に立て刀を肩に構えた。
「Hell Dragon!!」
刀に雷撃を貯め、一気に放った。衝撃で刀は崩壊し、雷撃は前の男達を吹き飛ばした。
怯えた男が手放した宮野が宙を舞う。
「ッ、!」
伊達は刀を抜くと馬の背を蹴り、宮野を刀同様空中でキャッチした。
くるりと一回転して勢いを殺し、伊達は静かに道端に着地した。
「おい!宮野!」
「…う…あ…?」
宮野はぼんやりと宙を見ている。変な薬を盛られたようであった。
「おい!返事くらいしやがれ!!」
「ちょ…タンマ独眼…頭痛い視界が回る気持ち悪揺らさないで……ッ」
「麻薬か…?…ッ、」
伊達は背後に感じた殺気に咄嗟に地面を蹴り、それと距離を取った。
雷撃も含め、追っていた男達のほとんどは葬ったはずだったが、どうやらまだまだ陣営に侵入していたらしい、十数人の男達が伊達を囲んでいた。伊達は宮野を自分の後ろに座らせ立ち上がった。
「誰だテメェ等は?」
「…………」
「HA!!黙りか。まぁいい、奥州筆頭伊達政宗、推して参る!」
「?!ど、独眼竜伊達政宗ぇぇっ!?」
どうやら山賊とおぼしき男達は伊達の事を伊達だと思っていなかったらしい、驚愕の声をあげ互いを見やった。
「竜を前にして随分余裕だなぁ山賊が!!」
「うわぁぁぁっ!!」
伊達は混乱している男達を容赦なく斬っていく。
腰が引けていた男達だったが、不意に1人の男が伊達を無視し、宮野の方へと走った。
「!テメェっ」
伊達がその男に注意を向けた一瞬の隙を突かれた。
伊達の正面にいた男が奇声をあげながら伊達に斬り掛かり、反応が遅れた伊達の右腕上腕を僅かに抉った。
「!Shit!!」
伊達は悪態をつくと左手に持ちかえた刀でその男を斬った。