「ベスター。お魚食べなさい。骨抜いているわよ」
人間が俺に魚を出された。魚出される度にぺしっと魚を床に叩きつける。
魚より肉が食べたいとウルウルしても
「子猫に悪いよ」
って言い返される。ガリっと思い切り人間を引っ掻く。
「いたぁぁぁい!!」
ベスターが瓜を怪我させて以来シャマルからベスターを自分の手の届く範囲で世話している。ベスターを世話してわかったことは、子猫なのに和牛肉とテキーラ酒が大好きなことと気位が高いこと。魚を出すと怒って引っ掻くだよね。でも子猫には、栄養が偏るから魚を出して食べさせようと小さく切った魚を和牛肉に混ぜて出すのにベスターは、魚をどかして食べるんだよね。
「〇〇様。まだ猫ちゃんお魚どかしたですか。」
「うん。ダメだった。全然」
「ねぇ。ベスター君って元々飼い猫だったじゃないかな。」
「京子。やっぱりベスターって飼い主とはぐれたのかな。じゃなきゃ食べる物が決まっているし あんなふてぶてしいわけないし」
「じゃ飼い主さんは、ワイルドじゃないですか。ブルジョアか俳優さんとか。」
そうだ。ベスターは、小さいのにイケメンだし気品がある。ご飯は、ゴージャス。じゃ元の飼い主に似たのかな。
「はひっ!〇〇ちゃんベスター君に引っかかれ過ぎです。手に包帯巻き巻きです!再来週は、〇〇ちゃんの七歳の誕生日ですよ。」
「〇〇ちゃん。私達でベスター君の世話をしてあげるから誕生日パーティーまでには、指を治してね。」
ベスター世話をしたいところもあったけど
「大丈夫です!〇〇ちゃん!ハルに動物の世話を任せって〇〇ちゃんは、ラッキーセブンの誕生日パーティーを楽しんで来てください。」
京子の思いやりの言葉にハルの励ましの声で誕生日パーティーまでに引っ掻かれた指を治すことにしよう。本当は、ベスターの世話がしたいのに。
誕生日パーティーには、ボンゴレに招待された著名人や名家のマフィアが集まってくる。社交界で華を咲かせたり時々仕事の依頼をしに交渉に来る人がいる。社交界は、刺の薔薇と似ている。薔薇の花が社交界に華を咲かせる場所であって。刺の茎が太いバイブを持とうと仕事の依頼を申し込み暗躍出来る場所になったりする。
おじいちゃんは、一人ずつ招待客とお話したりしている。彼らは、ボンゴレを慕うマフィア。話している内容がわからないから私は、同年代の子供の所に行く。
「〇〇様はのご両親は何をなさている人」
同年代の令嬢から誕生日のお祝いの言葉に相槌を入れながら話していると言いたくない言葉で尋ねられた。
「母は、難産した赤ちゃんだった私の臍の緒に幸運と血をあげて亡くなりました」
「まぁ。ごめんなさい。聞いていけないことを知らずに」
「いいえ。所で庭の薔薇と金魚草をご覧になりました?」
「はい。月明かりで鮮やかに咲いていましたね」
「あれは、母が生前集めた種なんです。それを庭に撒いて私が世話をして育てたものなのなんです。」
令嬢がまぁ と驚いた声をあげた。
「素敵な花を育ってるのがお好きなんですね」
「そうね。花の世話をするのが大変だけど花が開けば笑顔になれるです。母が遺した種を育ってるのがね」
「家族想いのお母様だったのですね。母から子への愛ごちそうさま」
令嬢が離れる。
父のことを聞かないで満足したのだろうか。
客人に紛した使用人が声がかけられた。この後初めての演奏をする時間。
舞台に上がりバイオリンをもって「幻想」を奏でて会場は、しっとり感に包まれた。
ピクっ。弦楽器のメロディーが聞こえベスターは目が覚めた。人の気配を探り誰もいないことを確認してベスターは、窓から脱走をした。
屋敷の明かりが気になりベスターは、覗き見ると人間だらけだ。髪を豊かに盛った貴婦人に正装の男が舞台を心地よさそうに見ていた。どうやら曲は、舞台に立っている人間が演奏していた。もっと近くで演奏している人が見たくなりほんの少し開いている窓から入った
テーブルの下に隠れながら人に気づかれないように進んだ。
移動しようとテーブルから出ようとしたら割れる音が響いた。
あっちこっちから割れる拍手が響いて照れくさかった。同時に達成感に満たされた。
ベスターには、拍手の音で頭が割れる。痛くって痛くってフラフラ歩くと人の脚にぶつかった。
「うわっ猫がっ!」
客の声で〇〇の演奏に感動していた客がベスターを見ると悲鳴をあげた。
何だろうと思って舞台を降りてベスターを見つける。
「野良猫がなんでここにいる」
「目つき悪いわ」
「何」
「〇〇様。猫が入ってきたんです。」
「へ?ベスターじゃない。私の演奏会来てくれたの」
「〇〇様の猫ですか」
「うん京都から取り寄せたアメリカショートヘヤーなの」
ベスターを抱きしめたまま休憩室に入る。
「ベスター脱走がうまいのね」
ベスターをなでなでしているとガリっと指に痛いのが走った。引っ掻かれた。
ベスターは、するりとショックを受けている〇〇の腕から抜け脱走した。