愛知県刈谷市の小中学校で子供のスマートフォン(高機能携帯電話)や携帯電話を午後9時以降は親が預かり、使わせない試みを始める。

深夜まで手放せない、明らかに行き過ぎた子供の使用が全国的に問題となっている。地域ぐるみで家庭のルールづくりを求める同市の取り組みに注目したい。

この試みは、刈谷市教育委員会や校長、警察などでつくる「児童生徒愛護会」が発案し、学校とPTAの連名で各家庭に要請する。
必要なければ持たせないことや、持たせるなら親子で使用に関する約束を決めることも求めている。すでに始めている学校もあり、新年度から本格実施する。

従来型の携帯電話に加え、インターネットに簡単につながるスマホが子供の間でも急速に普及している。
スマホ・携帯の所持率は、内閣府調査で小学生約4割、中学生約5割で、高校生のほとんどが持っている。

便利な一方で、性や暴力などの有害情報に容易に触れられ、見知らぬ大人と知り合い、犯罪に巻き込まれる事件も後を絶たない。
スマホを通した伝言や情報が気になり、肌身離さず持っている子も多い。すぐ返信しないと「無視した」などといわれ、陰湿ないじめにつながった例もある。

持たせるなら親子がルールを決めるのは当たり前だが、そうでない家庭が多い。刈谷市では「親子がそれぞれ使い方を見直すきっかけになれば」としている。
規制というより、親の責任を自覚させる取り組みとして参考にしたい。

厚生労働省の研究班の調査では、スマホや携帯、パソコンを通じてインターネットへの依存性が高く「病的使用」とされた中学、高校生が約8%いた。

中学生の半数が、深夜までメールをしているという調査もある。部屋に引きこもり食事をせずに熱中する例や睡眠障害なども報告されている。
スマホや携帯がないと「いらいらする」など、心身への悪影響が指摘されている。

こうした実態を、保護者はもっと知る必要がある。

情報機器を上手に使いこなすことは有用だ。
しかし、スマホ・携帯を手放せない子が多い現状は、活用とは言い難く、異常ですらある。睡眠や読書など、子供のころに、もっと大切にしてもらいたいことはたくさんある。
sankei.jp.msn.com