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風立ちぬ

宮崎駿監督『風立ちぬ』見て来ました
長くなりそうだからまた改めてーと思いながら、どうにもおさまらなくてとりあえず書き始めた9月8日の0:20です

キリのいいところで寝ます


四回くらい涙の波があって、うち二回は零れていきました
エンディングが秀逸…!
多分、自宅で一人で見てたらエンディングで嗚咽してました


さて、文芸批評かじってる人間としては非常に面白い作品でした

まずカフカか!という脳内ツッコミから始まっちゃったよ


説明過多では無く、計算され尽くした上での未完成さが、好みの分かれる要因でしょうか…
個人的には秀逸!としか言いようがないです

ある意味ひどく孤独な作品で、心理描写が欠如していて、主人公が外界から断絶しています
(その一方で、菜穂子が外界=風景を描いていました)
だから、観客は主人公の考えや感情を補完しながら観なくてはならないわけで、その補完があっているかは最後まで判断のしようがありません

また、外界を描く菜穂子は主人公と外界を結ぶ、近眼(また意味ありげな設定!)の主人公の眼鏡的な役割を果たす存在かな、とぼんやり思うわけなのですが、それを喪失した主人公は最後に現実ではなく夢の中で「生きねば」と思うんですよね

菜穂子=他/外との仲介  として考えるとものすごく切ない終わりになるのですが、結局、自己と他は、ずれることなく結びつくことは不可能になるけれど、それでも生きねばならないという結論に至りました

戦争に使いたくて飛行機を作るわけじゃない
どんどん時間の進み方が早くなることを求めてるわけじゃない
他人なんて理解できない

でも、そんなズレの中でも生きなくてはならない



ということなのかなと

うーん、物語と描写がごちゃごちゃに混ざってて、整理されてない文の羅列になりました…



何を考えてるかわからない主人公が唯一ポロポロ涙零す理由がやっぱり菜穂子なんですよね

外界と自己との境界を際立たせる役割を担うのが菜穂子だと思うんです



内田先生が批評、ご本人は感想って書いてたかな?を出していらっしゃいますが、始まりから終わりまで素晴らしかったです!



ジブリ今作、ものすごく好きでした
これまでとはまた違った系統なので比較はし辛いけれど、“事件”としてはこれまでで最高の作品かもしれない



ストーリーはほぼありません
あったとしても、もはや陳腐になりかねないような物語

じゃあ、それがどうして面白いのかって、描写の技術が素晴らしいからですよね

ストーリーの希薄性を考えれば、ものすごく緻密なつくりだと改めて思います

最大限に褒めてるって、伝わるかな…
文芸批評は物語に興味はないのです
その点、今作は最高でした
だって、こんなにいつでも陳腐になり得る準備のあるストーリーで、泣いてしまうんですもの!


もう一回と言わず二回三回と観に行きたいです


一緒に観に行った人は一方で否定的でした
何が言いたいかわからないと

うーん、何が言いたいって作品に説明を求めるのがまず間違いだと思うのよ…
でも多分大学入る前なら同じこと思ってました

もちろん、見方は自由だから、評価も自由なんですけれど
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